盛岡DCを活用し、学内インフラ強化及び地域の情報化を牽引

岩手大学では、先進ITを生かした教育研究活動を展開しています。
その概要とSINET4におけるノード新設の効果、並びに東日本大震災での貢献についてお話を伺いました。

中西 貴裕氏
中西 貴裕氏
国立大学法人 岩手大学では、先進ITを生かした教育研究活動を展開しています。
その概要とSINET4におけるノード新設の効果、並びに東日本大震災での貢献について、岩手大学 情報処理センター准教授 中西 貴裕氏と同 准教授 吉田 等明氏にお話を伺いました。
(インタビュー実施:2013年11月5日)

まず岩手大学 情報処理センターの概要について教えていただけますか。

中西氏:当センターではネットワークを含めた情報インフラ全体の整備・運用を担っており、研究教育用情報システムの構築や情報処理基礎教育の支援、マルチメディア活用、遠隔教育の支援など、様々な活動を行っています。 2年前には仮想化技術も導入し、各学部で利用する教育研究用サーバのプライベートクラウド化を実施しました。
また、セキュリティ強化にも力を入れており、外的な脅威に対する防御はもちろん、学内から外部へ出て行く情報に関しても厳しくチェックするようにしています。

吉田 等明氏
吉田 等明氏

吉田氏:学内情報インフラの整備に加えて、地域情報化への貢献も当センターの重要な役割の一つです。 約15年前から「ネットワーク連絡会」と呼ばれる会を組織し、地域で活躍する情報通信技術者が交流を図るためのコミュニティ活動を推進しています。 ここには産・官・学・民のあらゆる団体に所属する技術者や研究者が参加しており、講演会やお互いの活動報告などを行っています。 基本的には岩手県を中心とした活動ですが、最近では首都圏など遠方の地域の方々の参加も増えていますよ。

SINET4では盛岡ノードが新設されましたが、その効果についてはどうでしょう。

中西氏:非常に大きな改善効果がありましたね。以前は東北大学経由での接続だったのですが、100Mbpsの帯域が常に上限に張り付いているような状況で、学内の研究教育活動にも少なからず影響が生じていました。 たとえば、ある芸術系の講義では、学生が制作した作品を動画サイトにアップロードさせて評価を行っています。ところが回線帯域が一杯なために学生が思うように作品をアップロードできず、担当の先生も「これでは講義にならない」と困っておられました。 しかしSINET4で帯域が1Gbpsに増強されてからは、こうした大容量マルチメディアコンテンツも余裕を持って活用できるようになっています。
また、もう一つ大きいのが近隣の他大学への効果です。 本学ではTOPIC(東北学術研究インターネットコミュニティ)の接続拠点である盛岡NOCの運用でも中心的な役割を担っており、以前は盛岡大学や岩手県立産業技術短期大学などの大学が本学経由でSINETに接続する構成になっていました。とはいえ、本学の中でも既に帯域が一杯の状況ですから、他大学に対して十分な帯域を提供することが難しかったのです。 しかしこの問題も、SINET4へ移行したことで無事解消されています。

学内の先端研究を加速する上でも大きなメリットが期待できそうですね。

吉田氏:そうですね。本学でも大規模計算用の高性能サーバを導入していますが、コンピューティングパワーの向上に伴って、研究で利用するデータの容量も増加する一方です。 たとえば構造解析一つを取ってみても、近年では細かくメッシュを切ったデータを時系列に沿って膨大に蓄積するようになっています。
とはいえ、いくら大量の研究データを入手できても、ネットワークのパフォーマンスが追いつかないのでは十分に活用することができません。 こうした面でも、SINET4で帯域が増強された効果は大きいと思います。

運用管理面での改善効果などはありますか。

中西氏:本学では、大学院連合農学研究科や「いわて高等教育コンソーシアム」において他の大学/教育機関との連携を行っており、単位互換などの制度も整備しています。 ここではテレビ会議システムを利用した遠隔講義も行っていますが、以前は学内のネットワーク事情が厳しかったため、遠隔講義専用のVPN回線を別に引いていました。
しかし、現在ではこちらもSINETへ統合でき、機器の管理やネットワーク運用を別々に行う必要がなくなりました。 先生方から自分の研究にネットワークを利用したいという要望が寄せられた際も、柔軟に対応できるようになっています。

話は少し変わりますが、岩手大学 情報処理センターでは震災復興支援活動でも様々な貢献を果たされたそうですね。

吉田氏:はい。たとえば「学び応援プロジェクト」では、全国から義援物資として頂いた学用品を避難所の子どもたちに届ける活動を行っています。 幸い、非常に多くの物資が集まりましたので、文科省の「子どもの学び支援ポータルサイト」への登録を行ったほか、当センターの図書館部門と協力して被災地の小中高校ともコンタクトしながら配布活動を行っています。
また、その他に、本学でリース切れになった約550台のクライアントPCをメーカーから寄贈して頂き、ハードウェアのリフレッシュ作業やソフトウェアのライセンス交渉などを行った上で被災地に無償供与するといった取り組みも行っています。
震災直後には、我々センター職員も被災地へ足を運んで様々な支援活動を行いましたが、実はそこで大いに役立ってくれたのがSINETでした。 ボランティアも含めた数多くの人々が支援に当たる中で、一番困るのが現地の事情が分からないというということです。電話は輻輳して使いものになりませんから、ここで頼れるのはネットワークだけです。 その点、SINETの信頼性・可用性は非常に高く、被災地に支援を提供するための「目」としての役割を果たしてくれました。SINETを抜きには我々の支援活動は成り立たなかったと言っても過言ではないですね。

最後に今後の抱負とSINETへの期待をお聞かせ下さい。

吉田氏:東日本大震災を経験したことで、災害対策におけるネットワークの重要性を改めて感じました。そこで今後は本学においても、データバックアップやBCPの取り組みにSINETを活用していきたいと考えています。
以前の100Mbpsの環境では、こうした用途にまでネットワークを用いるのは正直言って困難でした。 しかし帯域に余裕ができた現在では、いろいろな仕組みを考えることができますからね。また、他の大学・機関が所有するスパコンなどの計算機資源の利用にも役立てられればと思います。

中西氏:私自身も学生時代からSINETを利用していますが、性能・信頼性の向上は非常に目覚しいと感じています。 今では大学運営に欠かせないインフラとなっていますので、今後もぜひ安定的な環境を提供して欲しいですね。 また、上位レイヤーサービスのさらなる拡充にも大いに期待しています。

ありがとうございました。