キャンパスネットワーク「MEINET」でのL2 VPN利用

名城大学 情報センターでは、教育・研究活動を支えるキャンパスネットワーク「MEINET」に、SINET3のL2 VPNサービスを採用しています。
その狙いと効果について、お話を伺いました。

高橋 友一氏
高橋 友一氏

名城大学 情報センターでは、教育・研究活動を支えるキャンパスネットワーク「MEINET」に、SINET3のL2 VPNサービスを採用しています。
その狙いと効果について、名城大学 理工学部 情報工学科教授 情報センター長 附属図書館長 高橋 友一氏と、名城大学 情報センター事務部長 余語 弘氏、同主事 名取 昭正氏にお話を伺いました。
(インタビュー実施: 2010年4月13日)

まず名城大学における情報化の歩みと、最近の取り組みについて教えて頂けますか。

高橋氏: 本学では1967年に当センターの前身である電子計算機室を開設し、それ以来40年以上にわたって、附属情報処理教室や端末室の設置、マルチメディアルームの開設など、様々な取り組みを行ってきました。 どこの大学でもそうですが、近年では単に計算機資源を用意するだけでなく、充実したネットワーク環境の提供も強く求められるようになっています。
本大学でも、創立75周年を機に、主に理工学系学部向けの組織を、全学的な情報センターへとサービス規模、内容を変更しました。 ちなみに、本学では全学の情報基盤である教育・研究情報ネットワークを「MEINET(メイネット)」と呼んでいますが、その情報インフラの更新なども定期的に実施しています。ちょうど2010年4月にも、新たなシステムが本稼働を開始したところです。

余語氏: 現在、MEINETで提供しているサービスとしては、GoogleのGmailサービスを利用したWebメールサービスや、持ち込みPCの接続サービス、各種の講義/学習支援サービス、学外からのリモートアクセスサービスなどが挙げられます。 大学ではセキュリティの確保も重要な要件ですので、統合認証やシングルサインオンの仕組みなども新たに導入しました。 また、2009年10月より、国際的なIT企業であるマイクロソフト社と、教育/学習支援体制の強化を目的とした連携も行っています。 ここでは、ソフトウェア製品に関する包括ライセンス契約を結んでいるほか、理工学部系の学生を中心に、アプリケーション開発製品の無償提供プログラム「DreamSpark」を提供してもらっています。

名取氏: 本学では学生、教職員合わせて約1万7000名のユーザーを抱えていますが、必ずしもその全員がITに精通しているわけではありません。 そこで、ヘルプデスクを設置するなどして、ユーザーのIT活用を積極的に支援しています。ユーザーから質問や問い合わせが寄せられる場合は、何らかの事情で困っていることも多いので、できる限りユーザーの立場に立って丁寧に対応するよう心がけています。

2009年秋には、MEINETを構成するネットワークの一つとして、SINET3のL2 VPNサービスを導入されました。
これはどういう経緯だったのですか。

高橋氏: 本学では、名古屋市内に天白キャンパスと八事キャンパス、岐阜県・可児市に可児キャンパスを置いています。天白/八事キャンパスは名古屋大ノード経由でSINETに接続しているのですが、可児キャンパスについては対外接続に民間キャリアの回線を利用していました。 ここで課題になっていたのが、可児キャンパス側の回線帯域です。名古屋大ノードに1Gbpsで接続している天白/八事キャンパスに比べて、可児キャンパスの回線は3Mbps保証の100Mbpsベストエフォート。名古屋市内の両キャンパスとは、通信環境に大きな差があったのです。 最近ではネットワークを流れるトラフィックも増加する一方ですので、可児キャンパスのネットワーク強化が大きな課題になっていました。
ちょうどそんな時に、SINETのWebサイトで、遠隔地のキャンパス同士をVPN接続している事例を目にしました。それまでは1機関1アクセスとあきらめていたのですが、NIIに問い合わせてみたところ、飛び地にあるキャンパスを結ぶための利用なら問題ないとのこと。 幸い、可児キャンパスの近くには核融合研究所のノードがありますので、早速、本学でも可児キャンパスの接続にSINET3のL2 VPNサービスを利用することにしました。

可児キャンパス側の帯域が足りないことで、不都合が起きるケースなどもあったのですか。

余語 弘氏
余語 弘氏

余語氏: 可児キャンパスは場所が離れている関係で、一部の科目で遠隔講義を行っています。ところが学内のトラフィックが増えてくると、この遠隔講義の映像や音声が乱れてしまうケースがありました。 しかも、天白キャンパス・可児キャンパス間では、テレビ会議を行うこともありますので、これらが同時に走ったりすると、さらに回線状況が厳しくなってしまいます。ネットワークの問題が講義にまで影響を及ぼすというのは、決して望ましいことではありません。
もちろん、既存の民間回線をもっと太くすれば、帯域にまつわる課題を解消することはできます。しかし、この方法には、費用が非常に嵩んでしまうという大きな問題があります。大学としても無尽蔵にコストを掛けられるわけではありませんので、何かいい手はないかと模索していたのです。 その点、SINET3を利用すれば、今までと同等のコストで可児キャンパスの回線帯域保証を1桁向上することができました。これは大いに助かりましたね。

SINET3に回線を切り替えた効果はいかがですか。

名取 昭正氏
名取 昭正氏

名取氏: 導入前/導入後で一日のトラフィックを比べてみたのですが、大幅な改善効果が現れています。ピーク値で比較すると、天白キャンパスから可児キャンパスへの上りが約560Kbps→約37Mbpsへ、可児キャンパスから天白キャンパスへの下りが約2Mbps→91Mbpsへと、飛躍的にアップしています。おかげで遠隔講義の映像/音声が乱れるようなこともなくなりました。 以前は遠隔講義用の帯域を確保するために、帯域制御装置を導入しようかという話もあったのですが、SINETに回線を変更したことでその必要もなくなりました。
また、もう一つの効果として、教室管理システムの安定稼働が実現できた点が挙げられます。 現在は可児キャンパスの教室管理用サーバも天白キャンパスに置いているため、万一可児キャンパス側の回線に障害が起きると、授業に支障が出る可能性がありました。しかし、広帯域で信頼性の高いSINET3のL2 VPNサービスを導入したことで、こうした不安も解消することができました。

安定的な教育・研究ネットワークの実現に、SINETが貢献したというわけですね。最後に今後の展望と抱負を伺えますか。

高橋氏: ネットワーク活用については、今までのお話にもあった遠隔講義以外にも、e-Learningコンテンツの配信や、ネットワークを介した自宅での学習環境の拡充など、様々な取り組みを推進する予定です。
もっとも、iPadのような新しいデバイスが登場したことで、ネットワークの使われ方もこれまでのようなPC中心の世界とは大きく変わっていく可能性があります。学術情報ネットワークや学内ネットワークで今まで想定していなかったコンテンツやトラフィックの量が急激に変化した時どうすべきかという点では、正直言って少々悩ましい部分もありますね。 ただ、情報センターとしてのサービス強化は、今後も当然のこととして、引き続き力を入れていきたいと思っています。

ありがとうございました。